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<銅賞> 受賞

「大きくなりたい」

田中 美奈子

田中 美奈子さん コメント

「この度は栄えある銅賞という賞を頂戴しまして、とても嬉しく思っております。この賞に応募するきっかけになったのは今年の2月でした。私は風景写真を撮る鈴木一雄先生の会に属しており、富士フィルムフォトサロンで作品展を行いました。私は石仏の上にカエルがピョコっと乗っかっている作品を出しましたが、それをご覧になった林義勝先生が、『これは大変面白いから、絵本にしたらどうですか?』とおっしゃってくださいました。その後、鈴木先生に写真絵本大賞について教えてもらいました。ただ、それまでとっておいた写真はせいぜい30枚くらいしかありませんでしたので、その日からピンの合った写真を集めるだけで大変でした。ストーリーも全く考えておらず、『ああでもない、こうでもない』と写真を並べて考えていました。そのうち不思議なことが起こりまして、写真の中のカエルのチビスケが、急にピョンピョン飛び跳ねる感じがしたんです。キャラクターが命を吹き込まれて生きる、というのはこういうことなのかと、とても不思議な気がしました。それまで単写真しか撮ったことがなかったので、それを連続してつなげるということで、こんなふうに面白い世界が広がっていくんだなと改めて感じました。こういう楽しい世界を経験させてくださった林義勝先生、それから大空出版の方々、そして協賛してくださった会社の皆さまに心からお礼を申し上げたいと思います。それから、私の背中を押してくれました、鈴木先生にも本当に感謝したいと思います。最後に、写真を撮らせてくださったチビガエルたち、アマガエルたちにもお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました」

審査員 講評

林 義勝 さん

写真家

もうこれは素直に見て、可愛いですよね。最初の1枚の写真から最後の終わりの写真まで、同じアマガエルくんを撮っていたのかなと思わせるような。実際はそうじゃなくて、いろんなアマガエルを捉えていると思うのですが、そういうふうに感じさせられる。本当に1匹のアマガエルと向かい合いながら、動物たちと心を通わせながら撮られているという感覚がとても心地よくて、1枚1枚めくっていく度に、どんな写真だろう、次はどんなのだろう、というふうにワクワクしながら見られる写真でした。そして、最終的に読み終わった後に、ほっとさせられる。よかった、心が癒された、そういうすばらしい内容でした。これは撮る方の優しい眼差しがあって可能になったのではないかと思っております。おめでとうございます。