内容
潮が引いた岩場にできる潮だまりのことを「タイドプール」といいます。そのタイドプールをのぞいてみると、様々な生き物が暮らしていますが、とりわけ可愛くて面白い顔をした魚をみつけました。この魚、「ロウソクギンポ」といいます。
大きさは6センチくらい。オスは巣穴を作って暮らしています。夏になると巣穴にメスがやってきて産卵しますが、産まれた卵を守るのもオスの役目。潮が引いた巣穴に容赦なく夏の日差しが照りつけます。それでも負けるわけにはいきません。
がんばれ! ロウソクギンポ。
秋になってようやく子どもたちが生まれました。和歌山県・串本町の浜辺では、毎年このような光景を見ることができます。水中写真家の今井寛治氏が長年に渡り撮り続け、子どもたちの目線でロウソクギンポの生態を伝える写真絵本です。
今井寛治(いまい・かんじ)
水中写真家・フリーデザイナー。1954年12月、岐阜県岐阜市生まれ。高校時代に森山大道氏の『写真よさようなら』(写真評論社 1972)の写真群に感動しカメラを始め、学生時代は写真部に所属。印刷会社に就職し制作全般を経験。その後いち早くMacを導入した制作会社を設立する一方で水中写真に出会う。以降水中写真を中心に写真活動をする。現在は和歌山・串本、小笠原、山口、奄美大島、大瀬崎など、主に西日本を中心に活動中。ロウソクギンポを題材にした「ロウソクギンポ タイドプールのくらし」で2021年、第2回「日本写真絵本大賞」金賞を受賞。
竹垣 毅(たけがき・たけし)
長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科(水産科学領域)准教授。進化・行動生態学研究室PI。専門は行動生態学。1999年に九州大学大学院農学研究科博士後期課程を修了し、「一夫一妻のサザナミハゼの繁殖行動とマウンド形成に関する研究」で博士号(農学)取得。日本学術振興会特別研究員(PD)、長崎大学水産学部助手を経て、2009年より現職。魚類や頭足類の繁殖戦略に関する研究に取り組み、現在は特に親による子の保護行動と受精を巡る雄間の精子競争の研究を進めている。